あなたは認知症?5分で簡単診断 ~長谷川式認知症スケール~
認知症は、単なる物忘れや老化現象とは異なり、脳の神経細胞が破壊されることで認知機能が正常に働かなくなる病気です。高齢化が進む中、認知症を早期に発見し、対策を講じることが非常に重要です。本記事では、認知症の簡易判定法として有名な「長谷川式認知症スケール」について解説し、認知症に備えた生前対策の重要性をお伝えします。
長谷川式認知症スケールとは?
長谷川式認知症スケールは、認知症の兆候があるかを簡易的に判断するための検査法です。1974年に精神科医の長谷川和夫氏によって考案され、現在でも医療機関や専門家の間で広く活用されています。
長谷川式認知症スケールの特徴
- 簡単に実施可能:特別な設備や専門的な技術が不要。
- 医師以外でも活用可能:家族や司法書士、弁護士なども検査を実施できます。
- 短時間で結果が得られる:9つの質問を通じて、加点式で判定。
日常生活で高齢者の判断能力に不安を感じた際、簡易的に確認するツールとして非常に有効です。
司法書士などの専門家も利用する
司法書士や弁護士などの専門家は、遺言書作成や相続対策の場面で判断能力の確認が必要な場合に長谷川式認知症スケールを利用します。
例えば:
- 遺言書作成の支援:高齢者の判断能力が不十分な場合、遺言書が無効になる可能性があるため、スケールを活用して判断能力を確認します。
- 相続対策:適切な判断能力があるかどうかを確かめることで、後のトラブルを防ぎます。
判断能力が疑われる場合、専門家は医療機関の受診を勧めることもあります。
長谷川式認知症スケールの9つの質問
以下は、長谷川式認知症スケールで使用される9つの質問とその目的です。
- 歳はいくつですか?
- 正解:1点(誤差±2歳以内なら正解)。
- 今日は何年の何月何日ですか? 何曜日ですか?
- 年、月、日、曜日ごとに1点ずつ加点。
- 私たちが今いるところはどこですか?
- 自発的に答えられた場合:2点。
ヒントを与えて正解した場合:1点。
- 自発的に答えられた場合:2点。
- これから言う3つの言葉を覚えてください。
- (例)桜、猫、電車/梅、犬、自動車
正解数に応じて0~3点。
- (例)桜、猫、電車/梅、犬、自動車
- 100から7を順番に引いてください。
- 1回正解するごとに1点(最大2点)。
- これから言う数字を逆から言ってください。
- (例)6-8-2、3-5-2-9。各正解で1点ずつ。
- 先ほど覚えてもらった言葉をもう一度言ってください。
- 自発的な回答:1語につき2点。ヒントを与えて正解:1点。
- 5つの品物を覚えてください。(時計、くし、はさみなど)
- 正解数に応じて最大5点。
- 知っている野菜の名前をできるだけ多く言ってください。
- 言えた野菜の数に応じて0~5点。
合計点による認知症度合いの判断
- 非認知症:24.3点
- 軽度認知症:19.1点
- 中等度認知症:15.4点
- 高度認知症:10.7点以下
20点以下の場合は認知症の可能性が高いと判断され、早めの医療機関受診をお勧めします。
まだ認知症になっていない方は生前対策を!
認知症を発症してしまうと、相続対策や財産管理が非常に難しくなります。判断能力がしっかりしているうちに、以下の生前対策を検討しましょう。
①遺言書の準備
- 遺言能力があるうちに作成が必要。
- 高齢者の場合、判断能力を示す医師の診断書を添付するのが望ましい。
②家族信託
- 信頼できる家族に財産の管理・運用を託す仕組み。
- 財産の所有権を移転するため、契約には判断能力が必要です。
③任意後見制度
- 認知症発症後の財産管理や身上監護を事前に契約で決めておく制度。
- こちらも契約には判断能力が求められます。
まとめ
長谷川式認知症スケールは、認知症の兆候を早期に発見し、適切な対応を取るための重要なツールです。認知症を発症すると、財産管理や相続対策に制約が生じます。早めの検査と生前対策を進め、安心した将来を迎えるための準備を整えましょう。