遺産分割協議の注意点
■必ず相続人全員で行う(必ずしも、一堂に会して話し合う必要はなく、全員が合意している内容の協議書を、郵送などの持ち回りで署名・押印する、という形をとっても良いです) 。
■「誰が」「どの財産を」「どれだけ取得するか」を明確に記載する。
■後日発見された遺産(借金が出てくる場合もある)を、どのように分配するか決めておく(記載漏れがあっても、改めて協議書を作成しなくて済むため)。
■不動産の表示は、所在地や面積など、登記簿の通りに記載する。
■預貯金などは、銀行名、口座番号なども細かく記載する。
■住所・氏名は、住民票、印鑑証明書通りに記載する。
■実印で押印し、印鑑証明書を添付する。
■協議書が数ページにわたる場合は割印をする。
■協議書の部数は、相続人の人数分、及び金融機関等への提出数分を作成する。
■相続人が未成年の場合は、特別代理人(通常は親権者)が遺産分割協議に参加するか、未成年者が成年に達するのを待ってから遺産分割協議をする。
■法定代理人も相続人である場合は、互いに利益が対立することになるため、家庭裁判所に特別代理人の選任申立を行う(未成年者である相続人が複数いる場合は、それぞれ別の特別代理人が必要)。
■相続人に胎児がいる場合は、胎児が生まれてから作成する。
■形見分けは自由にできる(形見分けとは、故人の愛用の衣類や時計等、身の回りの物を分けること)。
■相続人の一人が分割前に推定相続分を処分した場合は、遺産分割協議にはその譲り受けた他人を必ず参加させなければならない。
■ 相続人の一人が無断で遺産を処分してしまったら、他の相続人は、勝手に処分した相続人に対して、自分たちの相続分を返却するよう、相続回復を請求する調停や審判を家庭裁判所に申し立てる(第三者に売却してしまった場合、第三者は何も知らずに購入したのであれば、返却する必要はない)。
■ 遺産分割協議上で相続放棄を主張しても、家庭裁判所の手続を取らなければ放棄できません。遺産分割上の相続放棄とは、正の財産を相続しないという意思表示であり、負の財産を相続しないことについて債権者に対抗できませんので、注意が必要です。
遺産分割協議は、成立した後にもう一度遺産分割協議をやり直すことが原則として出来ません。
ただし、無効、取り消しの原因となる正当な理由があれば、一部または全面的にやり直すことができます。
やり直しが認められるケース
やり直しが認められる場合としては、以下のケースが考えられます。
1)遺産分割時、相続人の意思表示に詐欺・錯誤・強迫などがあった場合
(例)相続人が他の相続人に騙されていた
2)分割後に、分割時の前提条件が変更された
(例)新たに遺産が発見された、新しい相続人が現れた
3)共同相続人の全員が合意により遺産分割協議を解除したうえ、あらためて遺産分割協議をする場合