相続登記義務化について
不動産の所有者が亡くなった場合、その相続人の方が相続の際に行う必要がある手続きの一つとして、「相続登記」があります。
しかし、この相続登記は、これまで行わなくても罰則が課せられなかったため、手続きをせずにそのまま放置しておかれた方もおられました。
ところが、相続登記がなされないことで、所有者が特定できず「有効な土地利用ができない」ということが、東北大震災をきっかけに国レベルで大いに問題となりました。
すなわち、例えば公共事業を行いたくても、当該土地の所有者が不明であるならば、当該土地に勝手に手をつけることはできず、結局公共事業が阻害されてしまう等の問題点が表面化してきました。
一説によると、日本全国の所有者不明土地の総面積は、九州の面積に匹敵すると言われています。そこで、不動産登記簿を確認すれば、現在の所有者が判別できるようにするために、法律が改正されて相続登記の申請義務化が規定されることになりました。
具体的には、相続により(遺言による場合も含みます)不動産を取得した相続人は、相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならないこととされました。
また、遺産分割協議の成立により不動産を取得した相続人は、遺産分割協議が成立した日から3年以内に、その内容を踏まえた登記の申請をしなければならないこととされました。そして、正当な理由がないにもかかわらず、申請をしなかった相続人に対しては10万円以下の過料に処する旨の制裁規定が設けられました。