これだけ読めばOK!成年後見のメリット・デメリットを徹底解説
成年後見制度は、認知症などで判断能力が低下した人の財産を保護し、支援するための仕組みです。一方で、利用に伴う制約や負担もあるため、制度のメリット・デメリットを正しく理解しておくことが重要です。本記事では、成年後見制度の特徴を分かりやすく解説します。
成年後見のメリット
メリット➀ 財産管理を本人に代わり任せることができる
認知症などで判断能力が低下すると、本人が自らの財産を適切に管理することが難しくなります。
成年後見人が設定されることで、以下のようなリスクを回避できます:
- 紛失・浪費の防止:通帳や現金の紛失、過剰な出費を防げる。
- 詐欺被害の防止:特殊詐欺や悪徳商法の被害を未然に防ぐ。
成年後見人は、「本人のためにならない出費は一切認めない」という視点で財産を管理します。
メリット➁ 財産凍結を解除できる
金融機関では、認知症などで判断能力が低下した場合、本人の財産を保護するために口座を凍結することがあります。
成年後見人を設定すれば、正当な代理人として:
- 凍結された預金口座を解除し、必要な生活費や医療費を引き出せる。
- 不動産取引も本人に代わって進められるため、資産の塩漬けを防ぐ。
メリット➂ 詐欺などのトラブル防止になる
成年後見人の存在により、不利益な契約を取り消すことが可能です。
- 契約取消権を活用して、被後見人が誤って結んだ契約を無効化できます。
- 例えば、不必要な訪問販売や定期購入の契約も取り消せるため、本人の財産を守ります。
成年後見のデメリット
デメリット➀ 裁判所に管理される
成年後見制度では、支援が厳格に管理され、裁判所の監督下に置かれます。これにより:
- 成年後見人の活動は報告義務が伴い、煩雑な事務作業が必要です。
- 本人の財産はあくまで「保護」が目的のため、相続税対策や積極的な資産運用が認められません。
例えば、不動産の売却についても、「本人の施設費用に充てる」など明確な理由が無ければ認められない場合があります。
デメリット➁ 後見人には家族がなれないこともある
成年後見人は裁判所が選任するため、家族が希望しても選ばれない場合があります。特に以下の場合は、弁護士や司法書士などの第三者が選ばれることが多いです:
- 本人に多額の財産がある場合。
- 家族による適切な管理が難しいと判断された場合。
また、裁判所が後見人を監視する後見監督人を選任する場合もあり、その際には更なる報酬負担が発生します。
デメリット➂ 高額な費用が掛かることも
成年後見制度の利用に伴う費用負担は次のような項目があります:
- 申し立て費用
- 医師の鑑定料:5万~10万円程度
- 申し立て手続きの代行報酬(専門家依頼時):15万~30万円程度
- 成年後見人や後見監督人の報酬
- 成年後見人:月額2万~6万円(本人の財産額に応じて変動)
- 後見監督人:月額1万~3万円
- 報酬は基本的に本人の財産から支出されますが、長期的には財産の目減りや相続人の取り分減少につながる可能性があります。
成年後見制度のポイントまとめ
成年後見制度は、認知症などで判断能力が低下した人を保護する上で非常に有効な仕組みです。ただし、厳格な運用や費用負担があるため、以下を検討する必要があります:
- メリット
- 財産保護が確実に行える。
- 詐欺や不利な契約から本人を守れる。
- デメリット
- 裁判所の監督下に置かれるため、柔軟な運用ができない。
- 費用負担が長期的に大きくなる。
家族信託や任意後見制度などの代替案も含めて検討し、状況に最適な選択を行うことが重要です。成年後見制度を検討する際は、専門家に相談しながら進めることをお勧めします。