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相続ブログ

まるわかり!成年後見人の手続きについて

2025年03月7日

まるわかり!成年後見人の手続きについて

成年後見制度を利用するためには、複雑な手続きと一定の期間を要します。家族や支援者がスムーズに後見人としての役割を果たすために必要な手続きや流れを理解しておきましょう。本記事では、成年後見制度の手続きについて詳しく解説します。


後見人就任までにかかる期間

成年後見人として正式に就任するまでの期間は、ケースにより異なりますが、一般的には 1~2か月 程度が目安です。
ただし、以下の要因により期間が延びる場合があります:

  • 精神鑑定が必要 とされた場合
  • 家族間でのトラブルが発生した場合
  • 必要書類の不備や準備の遅れ

手続きを専門家に依頼することで一部の時間短縮は可能ですが、裁判所の作業時間を大幅に短縮することは難しいです。


手続きの流れ

成年後見制度を利用するための手続きは以下のステップで進められます。


1. 家庭裁判所への申し立て

成年後見制度の利用には、家庭裁判所への申し立てが必要です。申し立てができるのは以下の人物に限られます:

  • 本人
  • 配偶者
  • 四親等内の親族
  • 市町村長(家族がいない場合)

必要書類
申し立てに必要な書類は以下の通りです:

  1. 申し立て書類一式(申立事情説明書、親族関係図、財産目録など)
  2. 本人情報シート(介護状況の記載。ケアマネージャー等に依頼)
  3. 医師の診断書と質問書
  4. 本人の戸籍謄本・住民票
  5. 登記されていないことの証明書(東京法務局で取得)
  6. 本人の健康状態を示す資料(障害者手帳、介護保険認定書など)
  7. 財産に関する資料(通帳、不動産証明書、借入金の明細書など)
  8. 成年後見人候補者の住民票

これらの書式は裁判所のウェブサイトからダウンロードできます。


2. 家庭裁判所の調査官による事実の調査

家庭裁判所に申し立てが受理されると、調査官が事実確認を行います。

  • 面談対象:申立人、成年後見人候補者、必要に応じて本人や親族
  • 調査内容:本人の生活状況、財産状況、成年後見人選任の妥当性など

親族から候補者に対して意見が寄せられた場合、第三者の弁護士などが後見人に選ばれることもあります。


3. 精神鑑定

裁判所が必要と判断した場合、医師による精神鑑定が行われます。

  • 費用:主治医の場合5万円程度、専門医の場合10万円程度
  • 内容:心理テストや認知能力の診断

主治医が対応できない場合、精神科専門医に依頼する必要があります。


4. 審判

調査結果や提出書類を基に裁判所が後見開始の審判を行い、同時に成年後見人が選任されます。候補者が選ばれない場合は、弁護士などの第三者が選任されることがあります。


5. 審判の告知と通知

審判結果は申立人と成年後見人に通知され、通知から 2週間以内 に不服申立がなければ確定します。ただし、選任された後見人が意に沿わないという理由で不服を申し立てることはできません。


6. 後見登記

審判が確定すると、裁判所から東京法務局に後見登記の依頼が行われます。この登記は、成年後見人が本人を代理して行動できる証明となります。
登記事項証明書 は以下の場面で必須です:

  • 凍結された預金の引き出し
  • 不動産売却
  • 遺産分割協議への代理参加

登記が完了するまで1~2週間程度かかります。


7. 法定後見開始

成年後見人として選任された後、以下の事務を開始します:

  • 財産目録の作成・提出:審判確定後1か月以内に家庭裁判所へ提出。
  • 後見業務の遂行:本人の財産管理や生活支援、定期的な家庭裁判所への報告。

初期段階では、裁判所で取得した 審判確定証明書 を用いて、後見人であることを証明しながら業務を進めます。


成年後見制度の手続きをスムーズに進めるには?

成年後見制度の手続きは煩雑で時間がかかります。専門家である司法書士や弁護士に相談することで、手続きがスムーズに進むだけでなく、不備による遅れを防ぐことができます。

成年後見制度の利用を検討している場合は、早めに準備を始め、必要書類を整えて手続きを進めることをお勧めします。